CB1300SB納車記|キングに恋した女の話

神社の鳥居前のCB1300SBとsuu - suuちゃんねる
目次

プロローグ|あの夏、私はキングに恋をした

2023年の夏、私は人生で初めての「自分のバイク」を手に入れた。

それは、CB1300 SUPER BOL D’OR。通称CB1300SB。
車重267kg、排気量1284cc。およそ「初心者の最初の一台」とは呼ばれない、堂々たる大型ネイキッドのフラッグシップだ。

正直に告白すると、納車当日の夜、家に帰ってベッドに入った私は天井を見上げてこう呟いた。

「……もしかして、私とんでもないバイクを買ってしまったのでは?」

これは、そんな夏の物語。あとでものすごい苦労をすることをこの時の私は知らなかったが、それ以上に「あの日決断してよかった」と心から思える、私とCB1300SBの出会いの記録です。

「迷ってる人に最初に伝えたい。怖くて、重くて、最高。それがCB1300SBという選択。」

第一章|免許取得

2023年4月。私は東京の武蔵境教習所という教習所で普通二輪免許を取得した。
最初は400ccで充分だと思っていた。「いきなり大型は危ない、まずは中型から」というセオリー通り、自分なりに堅実なつもりだった。

けれど、中型免許を取得した瞬間、私は壊れてしまっていた
「大型バイクに乗りたいじょー!」

その想いに正直になり、2023年6月、私は大型二輪免許を取得した。免許センターから帰る電車の中、お守りのように免許証を握りしめながら、もう私の頭の中はすでに「次に乗る、大きなバイク」のことでいっぱいだった。

当時の私は、164cmで体重52kg(今はちょっとだけ肥えました笑)。客観的に考えれば、初めての一台に大型ネイキッドのキングを選ぶなんて、やや無謀だったかもしれない。
でも、若さでも勢いでもなく、自分の人生に「キング」を迎え入れたいという想いが、ただ純粋にそこにあった。

「免許を取った直後の高揚感、覚えていますか? あの気持ちこそ、人生で一番のガソリンです。」(上手いこと言うな私)

第二章|バイク王での、予期せぬ出会い

「CBがかっこいいから、欲しいなぁ」

それが、当時の私の漠然とした想いのすべてだった。
グーバイクをスマホで眺めるのが、毎晩の儀式になっていた。中古車情報誌の代わりに、布団の中でスクロールする、令和のバイク選び。

ある日、グーバイクで気になるCB系のバイクを見つけた。
ーーが、お恥ずかしい話、当時の私はバイクの車種知識がまだ浅くて、いまではそれが「何のCBだったか」さえ思い出せない。それくらい、ふわっとした下調べだった。

そのバイクが置いてある都内のバイク王に向かったのは、よく晴れた休日の午後だったと思う。同行してくれたのは、バイクに詳しい友人。

ショールームに足を踏み入れて、目当てのCBを見つけた。
……あれ?
近くで見ると、なんだか思っていたのと違う。スマホで何度も眺めていた写真と、目の前の実車。私の心の温度は、ゆっくりと冷えていくのを感じた。

「うーん、なんか、ピンとこないかも」

そう呟きながら何気なく目をやった、その

ドンッと存在感を放っていたのが、艶やかな赤と青と白の大型ネイキッド。
吊り目なヘッドライトに、シルバーの大きなタンク。ちょっと頭が大きいなと思わせたカウル。
私の足は、自然とそちらへ吸い寄せられていった。

「これ、なに?」

友人が、まるで物語の登場人物のように、ふっと笑ってこう言った。

「これ、CB1300SB。CB界のキングだよ」

ーーキング。

その瞬間、私の中で何かが確かにスパークした。

「私も……キングになりたい」

そして気がつけば、私はその場で、契約の話を始めていた。

第三章|納車当日、奥多摩へ向かう

数週間後。私はついにCB1300SBの納車日を迎えた。

ガレージから出されたどっしりと重い割に可愛らしいデザインの車体。エンジンに火を入れる。
ドゥルルル……と、低く太く、重い鼓動が始まる。

教習所のバイクや、レンタルバイクで体験した感覚と、何かが決定的に違った。
「で、でかすぎる…」

その日のうちに、納車に付き合ってくれた友人と、奥多摩へ向かうことになっていた。記念すべき初ツーリング。
青梅街道を抜け、奥多摩湖を目指す王道ルート。

走り出して10分もしないうちに、私はあることを悟った。

「これは、アクセルを「回す」バイクではなく、「回しすぎないようにする」バイクだ。」(今日は冴えているな)

教習所で散々練習した「アクセルを開けて速度を出す」感覚は、CB1300SBにはほとんど必要がない。
むしろ求められたのは、「いかにアクセルを開けすぎないか」「いかに半クラを丁寧に扱うか」「いかに早めにブレーキを始めるか」。

引き算の運転、と言うのだろうか。(我ながら上手いことを言うものだなぁ)
パワーがあるバイクを操ることは、パワーを出すことではなく、パワーを制御することなのだと、走り出して30秒で悟った。

ブレーキングひとつとっても、車重267kgが効いてくる。
止まりたいタイミングで止まるためには、ずっと早めに、ずっと丁寧に減速を始めなければならない。教習所では「止まれた」が、公道では「止まれない」かもしれない。
そんな緊張感が、ヘルメットの中の私を引き締めていた。

第四章|山道の爽快感と、立ちゴケ未遂の恐怖

奥多摩の山道に入ってからは、また景色が変わった。

ワインディング。曲がり、登り、降り、また曲がる。
適度なコーナーを抜けるたびに、CB1300SBは「ワイに任せろ」と言わんばかりに地面を蹴り、安定して立ち上がっていく。アクセルをほんの少し捻るだけで、トルクの塊が体を後ろへ押し付ける。
新緑の匂い、エンジンの低い唸り、そしてアドレナリン。

「気持ちいい」を通り越して、「気持ちよすぎて怖い」。
これが大型バイクなのか。
これが、キングなのか。

しかし、その日のクライマックスは、爽快感ではなく、恐怖の方に潜んでいた。

奥多摩のどこか、休憩所に立ち寄ったときのこと。
ーー砂利混じりの、わずかに傾斜した地面だった。
何の気なしに足を着いた私は、思った以上に重い車体が、グラッと予想外の方向へ傾くのを感じた。

時間が、本当にスローモーションになる。

「やばい、立ちゴケするぅぅぅ〜」

体重52kgの私と(今はもう少し肥えてる)、車重267kgのCB1300SB。
重量差は、約5倍。
倒れ始めたら、人間の力では絶対に支えきれない。

その瞬間、私は腹のずっと奥のほうから声を絞り出して、踏ん張った。
反対側の足を急いで地面に着き、ハンドルを必死に持ち直し、なんとか倒さずに済んだ。


もし倒していたら? タンクは凹み、レバーは折れ、自分自身も指の一本くらい挟んでいたかもしれない。何より、納車当日に大事なバイクをコケさせるなんて、思い出として一生のシミになるところだった。(我ながら上手いことを言うものだなぁ)

その日から、私は「停める前のシチュエーション確認」を、自分の中の最重要ルールに決めた。
すべてを納車一日目の恐怖が、私に教えてくれた。

第五章|街に降りたら、味のしないラーメン

奥多摩から帰る道、私たちはどこかの街中でラーメン屋に立ち寄ることになった。

ところが、これがまた地獄だった。

山道の方が、よっぽど走りやすかった。
街は、信号、右折、左折、すり抜けようとしてくる自転車、横を抜けていくクルマ、急に開く路肩のドア、そして交差点での停止と発進の連続。

CB1300SBは、街中ではトップクラスに「気を遣う」バイクだ。
低速で、丁寧に、ゆっくりと、なめらかに。
求められるのは繊細さで、それが切れると、267kgの塊が勝手に進もうとする感覚に襲われる。

特に右左折が怖くてしょうがなかった。
右折で待つたびに、対向車が途切れた瞬間に的確に発進できるか、自分が信用できない。
左折のたびに、内輪差で歩道に乗り上げないか、半クラを切らさず立て直せるか、心臓がはみ出しそうだった。

たどり着いたラーメン屋で、汗だくのまま席に着いた私は、運ばれてきた一杯を口に運んだ。

ーー味が、しなかった。

スープの濃さも、麺の歯ごたえも、チャーシューの旨味も、たぶん本当はとんでもなく美味しかったはずなのに、全部「ぼやけた音」みたいに通り過ぎていった。
お店の人には本当に申し訳ない。そしてその時思った。

「私、本当にとんでもないバイクを買ってしまったかもピエン(死語)」

「後の祭り」とはこのことかいね、Ahahaha〜

第六章|駐車場、1時間バトル

その日のクライマックスは、まだ終わっていなかった。

家にたどり着き、ようやくホッとした私を待っていたのは、契約したばかりの「初めての月極バイク駐車場」だった。

家からできるだけ近く、できるだけ安いところ。
それが、初めての契約で私が重視した条件だった。
そして、それは見事に初心者泣かせのトラップになって私に跳ね返ってきた。

私の家ではなく、近所のとあるマンションの一画にある駐車場。
入り口は狭く、頭から入れて、その先でUターンして、最後はバックで定位置に駐車する、という難解レイアウトだった。
玄人でも嫌な顔をする部類の駐車場だ。

冷静に考えれば、それが「常に空きの激安駐車場」だったことは、後からならいくらでも分かる。
でも初心者の私は、車重267kgのCB1300SBで、その駐車場と1時間バトルした。

「夏って、こんなに暑かったっけ?」

足を着いては引き返し、半クラで進んでは止まり、Uターンの途中で何度フロントをぶつけそうになったか分からない。
バックは、降りてバイクを押して動かす場面もあった。汗で背中はびっしょり。何回も「もう無理かも」と思った。

それでもなんとか定位置に停められたとき、私は心底ほっとして、その場に座り込みそうになった。

そして、結論。

1週間後、私はその駐車場を解約した。

別の、もう少し走行距離は伸びるけれど、平らで広く、まっすぐ入れる駐車場と契約し直した。
月額は少し上がった。でも、そのストレスが消えただけで、私のCB1300SBライフは劇的に快適になった。

安物買の銭失い、というやつ。
今ならハッキリ言える。

「初心者ほど、駐車場には「お金より易しさ」を払ってください。あなたの愛車と、あなた自身を守るために。」

第七章|納車から振り返って、いま思うこと

そんな波乱だらけの納車から、もう2年は経った。

立ちゴケ未遂の恐怖も、味のしなかったラーメンも、駐車場での1時間バトルも、あの全部があったから、今の私のライダー人生が立ち上がっている。

CB1300SBは、決して「初心者にやさしいバイク」ではない。
重く、大きく、強い。うん、重い。

でも、もしあの日、私が「無難な中型」を選んでいたら、たぶんここまでバイクを愛せなかったと思う。
「キング」という呼び名に、自分なりに食らいつこうとした日々が、今の私の運転技術と、毎日の充実感を作ってくれた。

CB1300SBの購入を検討しているあなたへ、最後にお伝えしたいことはひとつだけ。

「一緒にキングになろう」

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございました。
納車の日のことを思い出して、小説調で書いてみました笑。小学校時代に、物語を書くのが好きだった自分がいたことを思い出しました笑。

今では溺愛しているCBですが、納車してから数ヶ月は、CBが重すぎたおかげですごく怖くて、買ったことを後悔したこともありました。でも、そんな日々を乗り越えて、3年目の今も楽しくCB1300SBに乗っております。
私のCBありがとう!

納車してすぐの混乱と、半年経って落ち着いてからの感想は、まったく別物です。
CB1300SBの「良いところ」「正直つらいところ」「どんな人に向いているか」を、半年乗ってみて本音レビューしているので、購入検討中の方はぜひ合わせて読んでみてください。

👉 【納車して半年レビュー】CB1300SBの女性オーナーが正直に語ります!

納車当日の様子は、YouTubeにも残しています

文章では伝えきれない、当時のドキドキ感、エンジン音、奥多摩の景色。
動画にもギュッと詰め込んだので、よかったら覗いてみてください。

🎥 CB1300SB 納車動画
https://youtu.be/4wzYeU6MLBI

CB1300SBが気になっている方、これから大型バイクを買おうかなと迷っている方の、背中をそっと押すお守りになれば嬉しいです。

最後に|毎日のバイク話は、Voicyで

Voicyというラジオで平日コツコツ発信しています。
通勤・通学のお供に、ガレージタイムのお供に、ぜひフォロー&ブックマークお願いします。
今日も、安全運転で。よいバイクライフを!

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